2-1.日本の精神科医療

日本の精神科医療の特徴

日本の精神科医療には、以下のような特徴があります。
・精神科病床数が多いこと
精神科病床数比較


・長期在院患者さんが多いこと
平均在院日数(2005)


・病棟の人員配置が少なく、低コストで運営されていること
低コスト運用
(H18年厚生労働省病院報告、社会医療診療行為別調査報告、医療施設動態調査
 こころの健康政策構想会議 WG報告集より)

それでは、日本の精神科医療は、なぜこのような特徴を持っているのでしょうか。
これは、日本の精神科病棟が治療施設としてだけではなく、居住施設の役割を併せ持っていて、病棟を主に生活目的で利用している人が多くいるためです。
すなわち、病棟を生活目的で利用している人が多くいるので、病床数が多く必要になり、平均在院期間が長期化してしまいます。主に生活目的で利用している人には集中的な医療、高度な医療は不要です。そのため、日本の精神科病棟では、医師やスタッフの配置が少なくてすんでしまうのです。

このような特徴をもっている日本の精神科医療ですが、いろいろな問題が明らかになってきています。
病棟はもともと居住のための施設ではありません。病棟では、食事は上げ膳・据え膳であり、清掃なども病院側が行っており、入院患者さんの残された生活能力を生かすような病棟運営は困難です。そのため、精神科の病棟に入院の必要がない方を入院させていると、患者さんは寝ているだけの生活になりがちで、徐々に社会生活能力が奪われていきます。私は、これを「社会的廃用症候群」と呼んでいます。慢性期の病棟の患者さんの中には、「私だけは退院させないで、ずっとここで生活させてください」と訴えたりする人がいますが、これは我々の病棟収容中心の精神科医療政策が生み出した残念な結果なのです。

以下のグラフで明らかなように諸外国が病床数を減らし、精神障害者の地域生活支援に政策変更したあとも、日本では精神科病床数の増加が続きました。

病床数(比較グラフ)

更新:2013/2/1

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