身体拘束を考える視点

平成30年1月11日のNHKクローズアップ現代+「認知症でしばられる!? 〜急増・病院での身体拘束〜」にスタジオゲストとして出演してきました。

これから身体拘束を考える視点を皆様と共有したいと思います。

A.医療機関における身体拘束を考える視点・・・一般科における身体拘束と精神科における身体拘束には共通点と区別すべき点がある

一般科における身体拘束と精神科における身体拘束に関して考える場合に、共通する点と別々に考えた方がいい点があります。
共通する点は、「病院内で行われることは『専門性』の下、正当化され得る」ということです。これは、「専門性の壁」ということができるでしょう。
この「専門性の壁」によって、身体拘束に関して意見しようとしても、「医療上必要と判断されているから」という理由で話し合いにも応じないケースがあります。また、例えば精神科のカルテ上には、コピペしたように「精神運動興奮状態。不穏多動が著しく、放置しておけば、患者自身が受傷する恐れが十分にある」などと記載があって、前後の看護記録で「穏やかに会話している。興奮することはない」という矛盾した記載があっても、行政段階で問題視されることはまずありません。

さらに精神科の身体拘束には一般科に比較して分厚い「密室性の壁」が加わります。

「密室性の壁」のポイントは密室の中の権力関係の存在です。精神科において身体拘束が行われるのは閉鎖病棟です。
組織の中で権力を与える場合には、それが濫用されないように細心の注意を払わなければなりません。権力の濫用を防ぐ仕組みが絶対的に必要なのです。精神科病院にはそれがありません。精神保健指定医をトップとした医療者が強大な権力をもち、その行使には事実上制限がないのです。

ex.読売新聞医療ナビ記事(H29.9.25)より
躁状態で精神科救急病棟に入院した30歳代の女性
隔離室で看護師を何回呼んでも来ないので、自分の首を絞めるふりをすると、指定医が自殺企図と誤解。意図を話しても信じてもらえず、男性看護師5,6人に体を押さえられ、拘束された。その時、看護師のひとりに「こういうプレー嫌い?」と言われたという。
拘束は約一週間で解除されたが、現在の押さえつけられた時の恐怖が頻繁によみがえり、苦しくて動けなくなる。強引な身体拘束が、女性に心的外傷という新たな傷を負わせたのだ。

一般科の身体拘束においては、こんなケースはあり得ないでしょう。それは、精神科のような「密室性」が乏しいからです。

身体拘束を考える視点その2

更新:2018/1/12

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