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製薬会社による医療界汚染

更新:2014/1/10

千葉大学医学部附属病院 地域医療連携部

本日から、千葉大学医学部附属病院 地域医療連携部にて、未来医療研究人材養成拠点形成事業推進業務、すなわち人材育成の仕事をさせていただくことになりました。

とりあえず、在宅医療テキストの認知症セクションを作成しています。
学生の講義もさせていただけそうです。
楽しみです。

更新:2014/1/6

「認知症の人の精神科入院医療と在宅支援のあり方に関する研究会」にて意見を述べる

厚労省の「認知症の人の精神科入院医療と在宅支援のあり方に関する研究会」に参考人として出席してきました。

http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/elderly-health/ninchisyo-kenkyukai.html

認知症の人の精神科入院に関する問題に関して意見を述べてきました。
配付した資料はこちらです。
是非、お読みください。
認知症の人の精神科入院医療と在宅支援のあり方に関する研究会 配付資料

更新:2013/12/25

病床転換型居住系施設 内閣府 障害者政策委員会にて重大な懸念が表明される

日本で異常に多い精神科病床が問題になっているのはご存じの通りです。精神科病床は民間病床が9割を占めているため、その削減は遅々として進んでいません。いろいろな利害関係者がそれぞれの立場で病床削減の提案をしています。
最近、日本精神科病院協会を中心に単なる精神科病棟の看板の書き換えにすぎない施設類型(病棟転換型居住施設、具体例としては、介護精神型施設、宿泊型自立訓練、グループホーム、アパート等々)の創設が提案されています。
以前の「退院支援施設」、「介護精神型老人保健施設」の時とは異なり、今回は福祉分野でも賛成している人がいます。しかし、これが認められてしまうと、精神障害者の社会からの長期隔離が正当化され、長期入院させられている精神障害者の真の地域移行が行われなくなってしまいます。また、こうした施設類型を認めてしまうと、民間精神科病院は新たな施設を利用しつづけることになります。長期収容が必要な精神障害の人が徐々に減っている現在、代わりに認知症の人が収容されてしまう可能性が高いのです。

本日12月13日の内閣府 第9回障害者政策委員会では、多くの委員からこの「病床転換型居住系施設」への懸念が表明されました。
第三次障害者基本計画の中の 2.保健・医療 (2)精神保健・医療の提供等
○ 精神障害者への医療の提供・支援を可能な限り地域において行うとともに,入院中の精神障害者の早期退院(入院期間の短縮)及び地域移行を推進し,いわゆる社会的入院を解消するため,以下の取組を通じて,精神障害者が地域で生活できる社会資源を整備する。2-(2)-1
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonkeikaku25.html#anc3-2
に抵触する可能性が高いのです。

障害者政策委員会は、障害者基本計画の実施状況に関する監視機能を持っています。(障害者基本法第32条第2項第3号)
「病床転換型居住系施設」に関しては、障害者政策委員会が重大な関心を持ってその動向を監視していくこととなりました。

障害者基本法 第三十二条(障害者政策委員会) 
内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。
2 政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 障害者基本計画に関し、第十一条第第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
 二 前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。
 三 障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。

ここからは「病床転換型居住系施設」の説明です。

収入のほとんどが入院関連の民間精神科病院では、ふつうに考えると病床削減≒収入減少なので、現状の制度のもとでは病床削減は困難です。
そのため、日本精神科病院協会(日精協)では病棟をそのまま施設に転換することを提案してきました。ご存じのように、平成24年5月に公表した「我々の描く精神医療の将来ビジョン」の中で、「介護精神型老人保健施設」の創設を提唱しましたが、これは単なる病棟の看板の書き換えにすぎなかったため、各方面から強い反発を招きました。
http://www.nisseikyo.or.jp/home/info/vision/vision_top.html

私もこんな文章を作りました。
介護精神型老人保健施設の問題点(追記:病床転換型居住系施設の問題)

しかし、日精協は決して「介護精神型老人保健施設」の創設をあきらめませんでした。
例えば、昨年末の衆院選の自民党のマニフェストです。
この中の45ページ 「142 精神保健医療福祉の推進」に長期在院者対策として「介護精神型老人保健施設」が言及されています。

142 精神保健医療福祉の推進
 精神疾患が医療計画における5 疾患の一つとして位置づけられたことを踏まえ、国民の精神保健医療福祉に貢献するために、精神科医療の一層の推進と質の向上を推進します。
 特に精神科救急医療、自殺、うつ病、身体合併症、児童思春期、認知症など精神科医療に対する新たな社会的ニーズの広がりと深刻化に対応して、精神科医療への適切な評価、精神科疾患に対する正しい知識の普及や早期発見・早期治療の促進を図るための啓発運動、児童や職場などにおけるメンタルヘルス教育、診断法・治療法等に関する研究の推進を支援します。
 また、地域社会において障害があっても安定した生活を営むことのできる共生社会の実現を目指し、障害者の自立及び社会参加の支援等を促進します。
 さらに、長期在院者対策として、地域生活をサポートするサービスの提供や受け皿の整備のため、地域での住居の確保や介護精神型老人保健施設等により精神科病床の適切な機能分化等による精神科医療福祉の効率化と質の向上を図るために努力します。

昨年衆院選での自民党政権奪回の後、厚労大臣に日精協政治連盟の田村憲久衆院議員が就任しました。しかし、オレンジプランを骨抜きにすることは出来ず、「介護精神型老人保健施設」の評価も低いままでした。

平成25年6月の精神保健福祉法改正に伴い、厚労省 社会保障審議会障害者部会に「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」が設置されました。その10月17日の第6回会議で、「病棟転換型居住施設」が議論になったのです。日精協の委員以外の複数の委員も賛意を示し、検討するための常設の委員会の設置が提案されたそうです。
「病棟転換型居住施設」と名前が変わり、具体例にGH、アパートなども入っていますが、「病棟転換」≒「単なる病棟の看板の書き換え」という点では、「介護精神型老人保健施設」とほぼ同じ内容を持っているのではないかと考えています。
平成24年5月に日精協が将来ビジョンで介護精神型老人保健施設の創設を言い出したときには、きわめて強気に主張していましたが、今回の病床転換型居住系施設では驚くほど低姿勢でプレゼンしています。

平成25年11月23日には、精神保健従事者団体懇談会の第7回精神保健フォーラムが行われ、その宣言の中で「病棟転換型居住施設」に関して重大な危惧が表明されました。

以下、宣言の一部抜粋です。
特に、改正法第41条の大臣指針を策定するための検討会で議論になっている「病棟転換型居住系施設」構想については、これが真の地域移行とは程遠い姿となる可能性が大きく、当事者の意思確認の方法等も不透明であることから、重大な危惧を表明せざるを得ません。
http://seijukon.com/contents/menu/forum/07.html

その後「病棟転換型居住施設」は、より受け入れやすい「病床転換型居住系施設」という名称に改められました。

平成25年12月10日の日本経済新聞では、
 国土交通省は来年から病院や介護施設の建て替えや新設を促す規制緩和に乗り出す。地方自治体が医療・福祉施設の大きさを制限する容積率を緩和することを認め、高齢者向けのマンション併設型の病院などの建設を容易にする。在宅で医療、看護、介護サービスを受けられる体制を整え、高齢化に対応した街づくりを後押しする。
と報道されています。
http://mxt.nikkei.com/?4_18891_1005468_1

この病床転換型居住系施設、国交省も絡んでかなり具体的に話が進展しているようです。

昔「障害がある人は専門のケアが出来る施設で終生お世話をしてもらう」という考え方が一般的であったときに、国公立の施設をつくった諸外国とは異なり、日本では民間事業者に収容施設をつくらせました。このため、障害のある人を隔離収容するのが、民間事業者の仕事になってしまいました。そのため、「障害のある人も地域で生活をする」という考え方が一般的になっても、他の国のように施設を閉鎖することが出来ないのです。
精神科病棟をそのまま施設に転換する施設類型を認めると、私たちの過去にとった誤った政策をそのまま将来に引き継いでしまうことになります。
同じ過ちを繰り返すのは避けるべきであると考えています。

更新:2013/12/13

病床転換型居住系施設 民間精神科病院の事情

世界の精神科病床170万床のうち、約2割にあたる35万床が日本にあります。そして、その9割は民間精神科病院の病床です。日本だけ入院が必要な重度の精神障害者が多いということはありえないので、現状では多くの入院が必要でない精神障害者が入院生活を送っていることになります。

日本の精神科医療においては、国や地方公共団体が「財政難」を理由として精神科病院の建設をしてきませんでした。そのため明治から昭和の頃には、自宅に座敷牢をつくり精神障害者を収容するという「私宅監置」の制度が認められてきました。私宅監置の制度を管理していたのは、内務省-警察です。多くの精神障害者が不十分な医療と劣悪な生活環境の中に放置されていました。

精神医学入門、西丸四方他著、南山堂より

精神医学入門、西丸四方他著、南山堂より

その悲惨な状況を、呉秀三先生(東京帝国大学医科大学 精神病学講座教授)は、『精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的観察』(1918年)の中で、「わが国十何万の精神病者はこの病を受けたるの不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」と述べています。

その後、昭和29年7月の全国精神障害者実態調査で、精神障害者の全国推定数130万人、うち要入院35万人であることが判明しました。当時の精神科病床は約3万床です。多くの精神障害者が私宅監置されていることが明らかになったのです。精神科病床の整備が急務とされましたが、このときも国や地方公共団体は「財政難」を理由として、国公立の精神科病床をつくることをせず、低利の融資と精神科特例という運営上のメリットを与えることで民間事業者に精神科病院をつくらせるという政策をとりました。
その結果、民間の精神科病床は急速に増加し、いわゆる精神科病院ブームとなりました。

そして多くの先進国で精神科病床削減の政策がとられはじめていた昭和39年、ライシャワー駐日米大使刺傷事件が起こりました。当時のマスコミは「精神障害者を野放しにしている」と行政施策を強く批判、その後日本は精神科入院医療を中心とした施策に大きく舵を切ったのです。その結果、民間精神科病床が急増することになりました。

現在、「障害のある人も地域で生活する」という考え方が常識となろうとしています。しかし、日本では「精神障害者を隔離収容する」というのが民間事業者の仕事になってしまっているため、精神科病床の削減が簡単にはできません。民間精神科病院の収入の多くは入院関連なので、
 病床削減 →入院患者数の減少 →収入の減少
なので、単純に病床削減すると経営が持たないのです。

そこで出てきたのが、「病床を削減せずに活かして利用しつづける」という構想です。
2006年の病院の敷地内に「退院支援施設」をつくろうとする動き、2012年5月の「介護精神型老人保健施設」の提唱、そして、今回の「病床転換型居住系施設」の提唱です。
このうち、介護精神型老人保健施設や今回の病床転換型居住系施設は、病棟をそのまま施設などに転換するものです。
単純にイメージしてみても、「病院の1階は外来、2階は病棟ですが、3階から5階までは明日から施設になります」では、地域生活に移行したとはとても言えないと思います。

精神科病院の病床削減、私も当院で本格的に検討しましたが、現在の入院医療中心の経営モデルを変換するのはきわめて難しいことがわかりました。
・トップの強力なリーダーシップ
・職員の意識改革
・経営面での専門家の支援
が必要です。どれが欠けてもうまくいきません。
しかし、各地の先進的な取り組みで、病床を削減している民間精神科病院もいくつか現れてきています。

英知を結集し、民間病院が可能な病床削減のプログラムを早急に開発すべきであると思います。

更新:2013/12/13

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