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小象の会での講演

本日、NPO法人生活習慣病防止に取り組む市民と医療者の会「小象の会」で講演をしてきました。

第20回小象フォーラム

パワーポイントのノート形式で、講演内容をまとめました。

講演パワーポイント資料

更新:2016/5/14

日本精神科病院協会の戦術転換

最近、病床転換型居住系施設問題に関して、日本精神科病院協会(以下、日精協)が戦術転換をしたようです。

私が所属する内閣府障害者政策委員会で5月19日、精神科医療に関する第一回目のワーキングセッションが行われました。
内閣府 障害者政策委員会

当日、参考人の池原弁護士が障害者権利条約、国連人権規約と拷問等禁止条約と精神保健福祉法の問題について意見陳述をされました。この中で病床転換型居住系施設問題に触れられています。(29分40秒頃から)
障害者政策委員会ワーキングセッション2-1 精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など (2015年5月19日(火)開催)

その後、
障害者政策委員会ワーキングセッション2-2 精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など (2015年5月19日(火)開催)
の23分頃から日精協出身委員の平川先生のプレゼンテーションの中に病床転換型居住系施設問題に関する意見が述べられています。

「病棟をそのままアパートに転換するなどとんでもない話だ」という(池原先生の)ご意見に私も大賛成であります。精神障害者だけを収容する住宅を作ることは我々病院にとっても決して幸せなことではありません。よく委員会で、さも病院協会の代表が提案したような偏見に満ちた攻撃を受けますが、決してそうではなくてですね....

日精協理事が、厚労省が推進する病床転換型居住系施設に反対であると述べたのです。

当初、なぜなのか理解しずらかったのですが、以下のように解釈しました。

日精協では、平成22年より将来ビジョン戦略会議を重ね、平成24年5月に将来ビジョンを公表しました。
日本精神科病院協会 将来ビジョン戦略会議

この「4.各検討チームの報告書」の中の「生活施設検討チーム 報告書」で精神科病棟をそのまま老健施設に転換する「介護精神型老人保健施設」の創設を主張しました。
・過剰病床問題
・入院患者高齢化問題
の究極的解決策として強力に創設を主張したのです。

私は、日精協が今でも本当にやりたいと思っているのは、精神科病棟の転換老健への転換、すなわち介護精神型老人保健施設の創設なのではないかと考えています。
我々の描く精神医療の将来ビジョン
これは、日精協が厚労省審議会「精神科医療の機能分化と質の向上に関する検討会」第3回に提出した資料です。

老人保健施設は医師がトップの医療モデルの施設であり、100:1で医師の数が少なくてすみ、さらに医師の当直が不要になります。そして、介護療養病棟の病床転換支援策で提示された転換老健と同条件であれば、現在約15万床存在する15:1病棟に比較して売り上げが1-2割増えます。15:1病棟には多くの長期入院患者が入院しています。15:1病棟を精神老健に転換できれば、改装費もそれほどかからず、収入面でも大幅な改善が見込めるからです。

しかし、「介護精神型老人保健施設」は平成24年当時民主党政権下の厚労省老健局から、「こんな質が悪い老健は認められない」と一蹴されました。今でも日精協ではこのときに拒否されたことを相当恨みに思っている様子です。

平成25年10月17日、岩上氏が厚労省の検討会「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」(その後「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」と改称)で「病棟転換型居住系施設、例えば介護精神型施設、宿泊型自立訓練、グループホーム、アパート等」という言葉が入ったペーパーを配布しその推進を訴えました。
←このときには、転換先として「介護精神型施設」という名称が入っていました。

たぶん地域移行で実績がある岩上氏に精神科病棟の居住系の施設への転換を主張させれば、世間的な抵抗が少なくすんなりと認められる可能性が高いのではないかと考えた日精協が、裏で岩上氏を操る糸を引いていたのではないでしょうか。(これは私の単なる推測です。)

しかし、日精協の予想に反して、激しい反対運動が起きました。

反対運動の激しさから病床転換型居住系施設がすんなりと受け入れられないのを見て、日精協は考えを変えました。病床転換型居住系施設は、自分たちは関係ないところで岩上氏が言い出し、勝手に厚労省が提案してきたもので、巷では日精協が提案したように批判されて迷惑という立場を取り始めたのです。

そして、いろいろな条件をつけられた「病床転換型居住系施設」の例示から介護精神型施設を外させました。
(昨年7月の「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に関わる検討会取りまとめ」の病院資源の有効活用の部分を読むと、「転換老健型の施設」の記載がありません。)
「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」とりまとめについて

病床転換型居住系施設のようにいろいろ面倒な条件をつけられないように「転換老健型の施設」を例示から消したのではないでしょうか。

民間精神科病院に勤務する私の感覚では、病院にとって最もメリットがあるのは精神科病棟の転換老健化なので、日精協はこれから介護精神型老人保健施設の創設に向けて新たな戦略を持ち出してくる可能性が高いのではないかと考えています。

更新:2015/5/24

精神保健指定医不正取得問題と精神科病院での虐待問題

今回の精神保健指定医不正取得事件では、不正取得した指定医による非自発的入院の判断が問題にされています。

確かに不正取得した指定医による非自発的入院の判断も大きな問題ですが、ほぼ密室の精神科病棟内での行動制限の実施はさらに大きな問題であると考えます。
入院時には病院関係者以外の第三者が関与していることがほとんどですが、病棟内での行動制限の時には、病院医療関係者と当事者以外の関与者はまず存在しません。より人権侵害が起こりやすく、かつ発覚しにくい状況なのです。
精神保健福祉法上、指定医には病棟内できわめて強大な権限が付与され、精神医療審査会におけるチェックが事実上まったく行われていないことも相まって、第三者チェック機能がほとんどないに等しい状況です。精神科病棟内の指定医を頂点としたピラミッド型の権力構造の存在と指定医(とその他病院医療関係者)の暴走を防げない制度的欠陥の存在、これこそが精神科病棟でなくならない虐待の遠因の一つであると考えています。

精神保健福祉法の人権制限規定の問題は、以下の通りです。
・精神保健福祉法における人権制限規定が指定医への過剰な信頼によって成立していること
・指定医自体の合否の基礎が誰が書いたかわからないケースレポートにおかれていること
  ←申請する医師は不正行為はしないという医師への過剰な信頼に基づく制度設計
→医師や指定医への過剰な信頼に基づく、ずさんな制度設計

これを機会に精神保健福祉法の抜本的改正を検討しましょう。

更新:2015/4/30

東京新聞社説 精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ

本日の東京新聞に「精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ」と題した社説が掲載されました。

精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ

東京新聞_精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ_社説

更新:2015/4/24

精神保健指定医の職務

精神保健福祉法では、精神障害者の人権制限規定のすべてを精神保健指定医の判断に任せています。

以下、精神保健指定医の職務です。

精神保健福祉法 第十九条の四(指定医の職務)
第一項 ←勤務先の医療機関における職務

指定医は、第二十一条第三項(任意入院者の72時間の退院制限)及び第二十九条の五(措置入院の解除)の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定、第三十三条第一項(医療保護入院)及び第三十三条の七第一項(応急入院)の規定による入院を必要とするかどうか及び第二十条の規定による入院(=任意入院)が行われる状態にないかどうかの判定、第三十六条第三項に規定する行動の制限(隔離その他の行動制限)を必要とするかどうかの判定、第三十八条の二第一項(措置入院の定期報告の作成のための診察)(同条第二項において準用する場合(医療保護入院の定期報告作成のための診察)を含む。)に規定する報告事項に係る入院中の者の診察並びに第四十条(措置入院者の仮退院)の規定により一時退院させて経過を見ることが適当かどうかの判定の職務を行う。

第二項  指定医は、前項に規定する職務のほか、公務員として、次に掲げる職務を行う。 ←みなし公務員としての職務

一  第二十九条第一項及び第二十九条の二第一項の規定による入院を必要とするかどうかの判定
   ←措置入院、緊急措置入院の判定
二  第二十九条の二の二第三項(第三十四条第四項において準用する場合を含む。)に規定する行動の制限を必要とするかどうかの判定
   ←措置入院者の移送時の行動制限の判定
三  第二十九条の四第二項の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定
   ←措置入院の解除の判定
四  第三十四条第一項及び第三項の規定による移送を必要とするかどうかの判定
   ←医療保護入院のための移送の必要性の判定
五  第三十八条の三第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)及び第三十八条の五第四項の規定による診察
   ←精神医療審査会の審査における診察、退院等の請求による審査のための診察
六  第三十八条の六第一項の規定による立入検査、質問及び診察
七  第三十八条の七第二項の規定により入院を継続する必要があるかどうかの判定
八  第四十五条の二第四項の規定による診察

いろいろありますが、重要なのは、非自発的入院の必要性の判定、任意入院の退院制限、入院中の行動制限(隔離・拘束)の指示になります。

非自発的入院を必要とするかどうかの判定
 非自発的入院には、医療保護入院、措置入院、応急入院があります。

各入院の要件は
<医療保護入院>
精神障害者であること、医療及び保護のために入院が必要であること、任意入院が行われる状態にないこと、家族等の同意
      +指定医の診察で必要性が認められること

<措置入院>
精神障害者であること、医療及び保護のためにその者を入院させなければ、その精神障害のために自傷他害のおそれがあること
      +指定医2名の診察の結果の一致
<緊急措置入院> 指定医2名を用意できない緊急時のための規定 緊急措置入院の有効期間は72時間
精神障害者であること、医療及び保護のためにその者を入院させなければ、その精神障害のために自傷他害のおそれが著しいこと
      +指定医1名の診察

←措置入院、緊急措置入院は、都道府県知事による行政処分です。そのため、指定医の診察は第十九条の四第二項のみなし公務員としての職務になります。

<応急入院>
家族等の同意をとることができない場合の特殊な入院形態。有効期間は72時間。応急入院対応病院でしかできません。
      ←滅多にありません。私も松沢病院で数例しか経験ありません。
          
任意入院の退院制限(第二十一条第三項)
 任意入院の人が「退院したい」と言い出したら、多くの場合、この規定を利用して72時間の退院制限をかけます。そして72時間の間に医療保護入院に変更してしまうのです。
  →任意入院において、「入院の自由」はありますが、「退院の自由」はありません。

行動制限の必要性の判定(第三十六条第三項に規定する行動の制限)
 入院中の精神障害者に対して、隔離や拘束などの行動制限を指示することができます。

このほか、措置入院の解除の判定も行います。措置入院は都道府県知事による行政処分なので、措置入院の解除(=退院)の決定も都道府県知事が行います。
東京都の場合、措置入院の解除を申請して、実際に解除されるのに約1ヶ月の時間がかかりました。本当に退院して大丈夫なのか、確認するための期間だったらしいです。

精神障害者申請通報届出数、入院形態別患者数(平成25年度)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/13/dl/kekka1.pdf

このデータによると平成25年度末の措置入院者数は1,428人、平成25年度の医療保護届出件数は211,980件だそうです。

東京新聞に指定医不正取得問題に関する社説が掲載されました(平成27年4月24日付)。
精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ

更新:2015/4/22

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