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精神科の長期入院 @東京新聞

本日の東京新聞朝刊に「なぜ減らない 精神科の長期入院」と題する記事が掲載されました。
私のコメントも載っています。

H27.2.15東京新聞 なぜ減らない精神科長期入院

更新:2015/2/15

素晴らしい本 「働く幸せ 仕事でいちばん大切なこと」

最近読んだ素晴らしい本をご紹介します。

働く幸せ 仕事でいちばん大切なこと
日本理化学工業会長 大山泰弘著 WAVE出版

日本理化学工業はチョークを製造している社員70名くらいの小さな会社です。普通の会社と違うのは社員の7割が知的障害者であるということ。

知的障害のある人々を通じて、大山さんは人間にとっての幸せの意味、そして「働くこと」の意味を教えられたそうです。

法要のために訪れたある禅寺で、大山さんが食事を待っていると偶然、隣の座布団にその寺のご住職が座られたそうです。そこで、大山さんが口にした質問

「うちの工場には知的障害者の人たちが働いているのですが、どうして彼女たちは施設より工場に行きたがるのでしょう」

これに対するご住職の答えは、

「人間の幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは、次の4つです。その一つは、人に愛されること。2つは、人にほめられること。3つは、人の役に立つこと。そして最後に、人から必要とされること。
障害者の方たちが、施設で保護されるより、企業で働きたいと願うのは、社会で必要とされて、ほんとうの幸せを求める人間の証しなのです。」

日本理化学工業の工場敷地内には、この言葉を刻んだ「働く幸せの像」がたっているそうです。

導師は人間の究極の幸せは、
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
人から必要とされること、
の4つと言われました。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う。
            (大山泰弘)

私は、精神障害のある方々にもこの幸せを味わって欲しいと思っています。
残念ながら、入院生活や「病床転換型居住系施設」では味わうことができない幸せかと思います。

更新:2015/2/13

病床転換型居住系施設に関して思うこと

精神科病棟をそのまま居住系施設に変えてしまう「病床転換型居住系施設」の議論が続いています。

私は病床転換型居住系施設に関しては、反対の立場です。

病床転換型居住系施設に賛成する人の中には、多くの社会復帰困難な精神障害のある人の社会復帰を支援してきた方達がいます。病床転換型居住系施設に、社会復帰が困難な入院患者さんの中間施設としての役割を期待されているようです。「現実的な選択枝」としてよく理解できるところです。

精神科(閉鎖)病棟への長期入院は、一般科の病棟に長期入院しているのとは訳が違います。狭い病棟空間から一歩も出ることができず、生活は事細かに管理され、私物の持ち込みは厳しく制限されています。例えばテレビを自由に見ることもできないし、ゲームを自由にすることもできません。処遇に関して文句を言えば、「精神症状がよくない」と解釈されて、薬を増やされたり、行動制限をかけられたりします。
実際に病棟の中で精神症状が悪い人に対しての医療者の強制的な医療を、例えば泣き叫ぶ人が押さえつけられて保護室に連れて行かれたり、ベッド上で身体拘束されているところとか、むりやり鎮静剤を打たれるところとかを、目の前でみることになります。

こうした厳しい環境の中、入院している人々は、文句を言わず、スタッフの言いなりになることを選ぶことになります。

平成27年1月30日朝日新聞の山本深雪さんの記事です。

<引用はじめ>
■20~30年、限度を超えている NPO大阪精神医療人権センターの山本深雪・事務局長

 私はうつ病で3回入院した。若いころ、閉鎖病棟に1カ月入ったことがあるが、3週間もたつと外を歩く自分が想像できなくなる。ベッド周辺の空間が安心で平和な世界になってしまう。

 3週間目にコーヒーを飲みたくなり、勇気を振り絞って医師にお願いして外出したが、10年以上入院していた同室の女性に「勇気がある」と声を掛けられた。「看護師がいる詰め所を通って外に出て、またそこを通って、身体・持ち物検査を受けて戻るなんて怖くてできない」と彼女は言った。

 詰め所は、患者にとっては恐怖の第一関門。生意気と見られると、薬の量が増えるのでは、保護室に入れられるのでは、などと考えてしまう。看護師ににらまれるのは怖い。だから、患者は自分を守るために思いを口にしなくなる。

 当初は朝目が覚めて、隣に同室の人の顔が見えてギョッとしていたのに、入院していると普通になる。私の感覚では、入院が1カ月を超えると生活力が落ちる。自分に自信がなくなり、「生きる力」を奪われる。治療に入院の必要のない人が7万人も入院しているという推計もあり、20~30年も入院させるというのは限度を超えているのではないか、と私は思う。

     ◇

 やまもと・みゆき 1985年設立の「NPO大阪精神医療人権センター」事務局長として、精神科病院を訪問して患者の声を聞いたり、入院患者から電話相談を受けたりして、病院に改善を申し入れるなどの活動を続けている。
<引用終わり>

日本の約32万人の精神科病棟に入院している人々、約20万人は1年間以上の入院、そのうち5年間以上入院している人が11万人以上存在するという現状があります。多くは、長期入院のために生きる意欲を奪われ、社会生活能力を奪われた人々です。
私が病棟で回診すると「私だけは退院させないでください」と懇願してくる人がたくさんいました。決して入院生活が好きなわけではなくて、社会生活能力が奪われてしまって病棟の外へ出るのが恐ろしくなってしまった人々です。
「病床転換型居住系施設」に賛成する人は、こうした「社会生活能力が奪われて、簡単には社会に適応できず、社会に適応する意欲も奪われた人々」の現実的な社会復帰手段として、病院敷地内の中間施設の必要性、重要性を訴えているのだと思います。

しかし、大きな問題があります。

病棟内でスタッフに反抗する人は滅多にいません。(そんなことがあれば、こちらでどんなことをしてでも押さえ込みますので。)特に病棟内で医師はきわめて強大な権力を持っているので、医師に対してはみな媚びを売ってきます。どんなに上から目線の管理的な病棟運営をしていても、「感謝されて、喜ばれているように思えてしまう」のです。このため、上から目線になりがちな病院スタッフ、特に医師の行動様式には全く修正がかかりません。また、こうした環境で数年間仕事をすると、この「上から目線の管理的な視点で行動してしまう」という行動様式が簡単には変えられないのです。
例えば、私は精神科医師としての仕事が大好きで、20年以上こうした病棟環境で仕事をしてきて、まったく何の疑問も感じませんでした。現在の私は、考え方は変わりましたが、残念ながら行動様式はほとんど変わりません。病棟に行くと自然に「上から目線の管理的な視点」から行動してしまっています。
例えば、映画「カッコーの巣の上で」を視聴すると、「どうして入院患者にこんな勝手なことをさせているんだ」とか、「どうして病棟内をもっと厳しく管理しないのだ」とか思ってしまうのです。

「病床転換型居住系施設」の問題点は、こうした「上から目線の管理的な精神科医療」に何の疑問も持たず(気づくこともなく)、自然に「相手の悪いところを探してそれを修正する」という病棟精神科医療を実践してしまうスタッフが、「居住施設」を運営することになることです。精神障害がある人の社会復帰を支援するためには、「悪いところを探しだして、それを修正する」のではなくて、「相手のよいところを、残された能力を探して、それを伸ばす」というアプローチが必要です。残念ながら、病床転換型居住系施設では、最も期待される「社会復帰のための中間施設」としての機能が果たせないのです。

実際、1990年に日本の「病床転換型居住系施設」と同じように精神科病棟をそのまま居住施設に転換する政策をとったベルギーでは、結果として少ない人手で大型の施設収容的環境のまま長期入院患者を囲うことになってしまい、失敗におわりました。そして、2011年から強制的な病床削減政策がはじまったそうです。

必要なのは、大熊一夫さんのいうように脱収容所化、精神科病床の削減です。その過程の中で、どうしても社会復帰が簡単にできない人に対しては、その人に必要な支援をすることです。
脱収容所化、精神科の病床削減は民間精神科病院が9割をしめる日本では、簡単ではありません。でも、私はそれを実現したいと思っています。

病床転換型居住系施設 私の考える問題点(精神医療77 H27.1)

更新:2015/2/11

公益社団法人 かながわ福祉サービス振興会にて研修会

本日、公益社団法人 かながわ福祉サービス振興会にて「認知症の理解と適切な支援について」と題して研修会を行いました。
最後に使ったスライド資料をアップロードさせていただきます。

その4

更新:2015/1/26

ホスピタリティ☆プラネットにて講演

本日、ホスピタリティ☆プラネットにて、「認知症と精神科薬物療法」というテーマでお話しをさせていただきました。
使用したパワーポイント資料をこちらにアップロードさせていただきます。

H26.11.23ホスピタリティプラネット 認知症と薬剤

講演記録ができあがりました。

H☆Pニュース68号 認知症と薬

更新:2014/11/23

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